みなさんは、「ミトコンドリア」を聞いたことがありますか?ミトコンドリアは細胞の中にいる小さな器官です。1細胞当たり平均300~400個存在し、人体全体では1京個(1兆の1万倍)になるそうです。生命の「発電所」といわれ、生きるのに必要なほぼすべてのエネルギーを作り出しています。

図1. 動物の細胞

細胞は核膜を持たない原核細胞と核膜をもつ真核細胞に分けられます。原核細胞でできている生物として、細菌類(大腸菌や乳酸菌等)、ラン藻類(ユレモ、ネンジュモ等)があります。真核細胞でできている生物は細菌類とラン藻類以外のすべての生物細胞といわれています。

図1は動物の細胞の模式図です。光学顕微鏡で見える訳ではないので、こんな色なのかは謎です。作者のセンスで色付けしました。悪しからず。顕微鏡で見る場合は染色していますね。

細胞の中には、真ん中に核があり、それを囲むようにしていろいろな器官が配置されています。ミトコンドリアはその中の一つです。ミトコンドリアはソーセージやイモムシのように描写されます。曲がったりねじれたり、いろんな形が取れます。普通は細菌ほどの大きさで、長さは千分の数ミリ(1~4 μm)、太さは1/2 μmほどです。

人体
図2. 人体模式図

先にミトコンドリアがエネルギーを作っているというお話を少ししましたが、エネルギーを必要としている細胞の中にはより沢山のミトコンドリアが存在します。肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝が活発な細胞には、数百、数千のミトコンドリアが存在し、細胞質の約40%を占めています。一方、血球や皮膚細胞にはミトコンドリアがあってもほんの僅かです。

図3. 子宮の様子

卵細胞は例外で、およそ10万個のミトコンドリアを次の世代に渡しています。精子には100個も入っていません。

成人の場合、全身のミトコンドリアは1兆個の1万倍もあるといわれ、全部で体重の約10%を占めています。例えば、体重60kgの人のミトコンドリアは6kgになります。

ミトコンドリアがどの細胞にどのくらい存在するのか、調べられたら後日記載したいと思います。もし、文献を持っている方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームなどからご一報くださるとうれしいです。(2020.09.28)

参考文献:ニック・レーン (2007) 『ミトコンドリアが進化を決めた』(斉藤隆央 訳 田中雅嗣 解説)みすず書房